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牽引で腰痛が悪化!!

この牽引療法はなんとヒポクラテスの時代から行われている歴史ある治療法です。当時は主に背骨の矯正や骨折や脱臼の整復に使われていました。現代でも頻繁に行われ、骨折や脱臼の他に腰椎椎間板ヘルニアや腰痛の治療で行われています。

牽引療法は頚椎(頚の骨)や腰椎(腰の骨)を牽引し、骨と骨の間隔を広げることで脊椎症や椎間板ヘルニアなどによる神経の圧迫を軽減することを目的とします。

牽引には、椎間関節周囲軟部組織を伸張するストレッチ効果と、椎間板・椎間関節を軽度の離開させ負担を減らす免荷の効果と、神経が出る椎間孔を広げる効 果があるとされ、ヘルニアや椎間関節由来の腰痛に有効な治療法とされています。

しかし、治療効果を評価する論文では有効性に関しては評価が低く、本来の椎間関節を広げる効果は殆ど効果が無いと書かれています。また臨床経験の中で牽引治療を受けた人で「よくなった!」という例は殆どおらず、逆に悪化しているのが現状。

牽引による腰痛悪化の原因

この牽引治療によって悪化する最大の原因は、関節を牽引することにあります。つまり治療の目的そのものが腰痛悪化の原因というわけです。そもそも関 節が正常に機能するための条件は、関節同士が密着した状態でかつ適度な荷重が加わっている状態です。関節同士が密着しているお陰で関節同士がよく滑り、動きが生じます。また関節同士が密着していることで関節が安定性します。しかし、関節の牽引は、関節が正常に機能するための条件を無視した行為です。関節の条件を無視した牽引療法が関節に良いわけありません。

関節が牽引によって、関節周囲(関係ない関節)の靭帯や関節を包む関節包などが伸ばされ、関節が不安定になります。関節が不安定になると、関節を安定させるために関節周囲の筋肉が緊張して腰痛を悪化させます。

また、牽引は関節だけではなく神経や脊髄を包んでいる硬膜も牽引します。神経や脊髄が牽引されると直径が狭くなり、結果的に圧迫と同じ状態になって、痺れ や痛みを引き起こします。

牽引によって腰痛が悪化するメカニズム

牽引治療は治療の目的である椎間関節を広げる効果は殆どありませんが、牽引による筋肉のストレッチとリラックス効果があります。そのため、筋肉が伸ばされて気持ちがよく、やった直後はよくなった気がします。しかし、筋肉は伸ばされると縮む性質があるため、家に着く頃には前よりも筋肉が硬くなり腰痛は悪化。

更に長期にわたって牽引すると、坐骨神経も伸ばされ直径が細くなるり、圧迫と同じ状態が生じます。伸ばされた神経は神経内の静脈の循環が滞って神経 内で浮腫が生じ、神経内圧が高まります。神経を牽引力する力と浮腫による神経内圧の亢進によって神経内で神経繊維が、圧迫されてます。圧迫により循環が滞ると、神経が壊れ(変性)して痛みや痺れを発症します。結果的に痛みに痺れや麻痺が加わり、腰痛が重症化します。

腰痛・牽引・悪化・牽引を繰り返しているうちに、牽引をしても逆に痛みが増すようになるります。すると今度は痛み止めや神経ブロック注射をやり、それでもだめなら手術を勧められます。しかし手術をして良くなる確率は半々と言われています。

牽引は関節が正常に機能するための条件に反した行為です。骨折や脱臼の整復の目的以外に関節を牽引することに意味はなく、椎間板ヘルニアの改善にもなりません。むしろ逆に関節を壊し腰痛を悪化させるだけですので、止めることをお勧めします。


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