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症例集０４４：骨盤の歪みからくる「肩こり・頭痛」
主 訴：
右首～右肩甲骨周辺にかけての張り・左肩の痛み・頭痛。
患者情報：
年齢：２０代 女性
症状・病歴：
中学生の時に陸上部で長距離走をしていた頃から右脚が短かい感じがしていたが、こ れといって症状はなかった。
高校生の頃から肩こりや偏頭痛等に悩まされる。
大学にあがった最初の歳に自転車で走行中に右から車に衝突され、頚が鞭打ち状態に なった。その翌年に口が開きづらくなったため歯科医へ受診。顎関節症と診断される が、歯列矯正等はせずにそのまま放置。それ以来から寝ても疲れとが取れずに、いつ も疲れを感じていた。また、この頃から肩こり・頭痛（眼の奥と前頭部）が悪化。特 に額の辺りが痛むようになった。
就職して一ヶ月経った頃から、右肩甲骨周辺の張り感が増してきた。その張りは 徐々に痛みに変わり、さらに左肩までも痛み出した。そして時間とともに症状は悪化 し。とうとう頚までが回らなくなり、職場でも右隣りの人に声をかけられても右に振 り向くことが出来なくなった。
医師による診断：
整形外科を受診したところ頚椎症と診断された。湿布/鎮痛剤が処方され、それ以 外は症状に対して治療はなかった。
当院への来院経緯：
最初に整形外科を受診するが、湿布/鎮痛剤を処方するだけで何もしてもらえず、 何も改善されなかったので行かなくなった。
次にマッサージに何度か行った。しかしマッサージでは一時的に筋肉は緩みはするも のの、翌日には元に戻る。張った筋肉を揉む事はあまり効果が無いと考え、根本的な 原因である骨格の歪みを取るためにネットでカイロプラクティックを探し、当院へ来院 した。
構造診断:
姿勢の観察：
姿勢は、全体が「くの字」に傾き、さらに身体は反時計回りに捻じれ、頭は逆に時 計回りに捻じれていた。頭の位置も身体に対して右側にスライドしていた。右の骨盤は左よりも高い位置にあるが、肩は逆に左肩よりも低い位置にあった。
カイロプラクティック的診断
骨盤は右仙腸関節が前方変位している。背中は第３胸椎が右側屈後方変位している。
頸部は、第7頚椎が左側屈後方回旋変位し、環椎が右後方に変位している。
骨盤の変位により背骨が全体的に左回旋を起こし、その結果、首は右回旋制限を起こ している。また、胸椎と頚椎の変位が右頚部の筋肉を常に伸張させる状態を生じさ せ、その結果、右頚から右肩にかけてのコリを生じさせている。また環椎の右後方変 位が後頭下筋群を伸張し頭痛を悪化させている。
処置：
遡ること中学生時代から続く身体の傾きと捻じれを取るために、骨盤の位置と頭の位 置を正しい位置に戻す処置を行う必要があります。そのためにまずやるべき事は、大本の歪みである骨盤の傾きと捻じれを取ることです。
骨盤の傾きと捻じれを取るために、緩んで前方にズレていた右の仙腸関節の関節を締めて安定させ、正しい位置に戻す手技を行いました。 次に捻じれて柔軟性を失った背骨（胸椎と頚椎）を柔軟性と動きを取り戻すために、手で瞬間的な圧力を加えて関節を矯正し、関節に動きをつけました。
症状の経過：
1回目の治療で首が右に回せるようになり、2〜3回目の治療で、あれほど揉んで翌 日には元にもどっていた右首〜右肩甲骨周辺の張りが殆ど感じられなくなり、頭痛も ぴたりと治まりました。
コメント
肩こり/頭痛の多くは、デスクワークや長時間のパソコン作業によって頭が前突す る姿勢（=いわゆる猫背）が原因で発症することが多いのですが、この方の場合は骨 盤の問題から起因する肩こり/頭痛です。
その骨盤の問題も、ここ最近のレベルではなく「右脚が短く感じる」と言っていた 中学校時代まで遡ります。この時から既に骨盤の歪みが酷く、姿勢は、ここに来た時と同じ ように右の骨盤が上に上がり、そのせいで足がやや浮いている状態だったために、足が 短く感じていたのでしょう。
その後、高校生になると骨盤の歪みを上半身で補正する形で姿勢が悪化し、頚や肩 の筋肉に張りが生じてました。 そして大学生の時に被害にあった交通事故によって、とどめを刺される形で急激に悪 化していきました。
この方のような頚や肩の痛みは、骨盤の歪みがそのまま全身に波及して、結果的に 頚や肩に痛みが出た典型的なパターンです。このような骨盤の問題で頚や肩に痛みが 出ている場合は、いくら頚や肩を揉んでもよくなりません。この頭痛/肩こりの症状 を改善するためには、歪んだ骨盤を矯正し骨格から改善させるカイロプラクティック 的な治療が必要です。
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