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![横浜天王町カイロプラクティック](img/index/topbanner2.jpg)
症例集025:歩くたびに痛む股関節。
主訴:股関節の痛み。
医師による診断:坐骨神経痛、変形性股関節症
既往歴:
小学校の時に膝関節炎になりしばらく整形外科に通った。現在も時々膝が痛くなる。2年前、まだ営業職をやっていた頃に酷い捻挫をしたが、特に病院にも行かずに放っておいた。
捻挫をして以来、歩きかたが変になった。
現病歴:
先週から歩いているうちに股関節が痛くなって来た。歩く時に右脚を突くと右の股関節が痛む。原因として考えられるのは、職業が介護職。 職業柄しゃがんだ状態から老人を抱える事も多く、そのとき痛めた。
所見:
![姿勢](img/shiseidecchiri.jpg)
図は医歯薬出版:筋骨格系のキネシオロジーより抜粋
ちょうど高いヒールを履いて重心が前に移動して前に倒れそうになるのをなんとか重心を後ろに戻そうと、膝を伸ばして踏ん張り、腰をそらして同時に胸を張るとこうなります。
仰向けにさせると腰椎の前彎が強くなりと骨盤が前傾になる。膝は伸び切らず幾分屈曲した状態。膝を伸ばすと更に腰椎の前彎が強くなる。そのため仰向けになった時に伸展出来ない股関節の代償作用として腰椎の前彎 の増強や骨盤の前傾が起きる。
検査所見:
股関節屈曲(通常約135度):右100度で鼠径部に痛み。股関節外旋(通常約45度):25度で強い抵抗と痛みを訴える。
歩行では踵を突くと痛む。
トーマンステスト:陽性。
![トーマステスト](img/thomastest.jpg)
医歯薬出版「図解四肢と脊椎の診かた」より抜粋
カイロプラクティック的 診断:
股関節を屈曲させる筋肉は主に大腰筋と腸骨筋、大腿直筋の内側の繊維で行われます。これらの筋肉は股関節の屈曲以外に股関節の内旋させる働もあるため、これらの筋肉が緊張すると股関節は内旋位になり外旋しづらくなります。
実際に内外旋を検査すると外旋制限が観られました。股関節の屈曲拘縮の状態で立位(下図B)を取らせると、股関節が部分的に屈曲した状態になるため、大腿骨頭を納める寛骨臼と股関節の位置関係が正常な立位(下図A)と異なります。
![屈曲拘縮](img/kukyoku.jpg)
図は医歯薬出版:筋骨格系のキネシオロジーより抜粋
正常な立位の場合、大腿骨頭の位置は寛骨臼の衝撃から股関節を守るクッションの働をする関節軟骨が豊富に存在する部分に接するが、屈曲拘縮の状態で立位になると大腿骨頭は寛骨臼の関節軟骨が薄い部分と接します。
この状態で歩行や運動等で大腿骨頭に衝撃が加わると、薄い関節軟骨に衝撃が直に加わり軟骨がすり減って炎症を起こし痛みを発します。長期的にこのような状態が続くと結果的に股関節の変形を引き起こします。
この方の右股関節痛は股関節屈曲拘縮 によって股関節の位置がずれて衝撃が関節軟骨が炎症を起こしたのが原因で痛みを発したもでしょう。
処 置
- 股関節屈曲拘縮 に関わる筋肉の弛緩。
- 前傾姿勢の原因になっている骨盤の前傾を矯正して姿勢の重心を前方から後方へ移動させる。
- 股関節と膝関節の関節面を滑らかにするために、それぞれの関節面に軸圧をかける。
- 頸部の緊張は全身の筋緊張に影響するために頸部の筋をほぐす。
- 前方頭位の影響から第1頸椎や胸椎に動きが無い。これらに動きを付ける為に矯正する。
結 果:
重心が後方へ移動し下肢の前面にかかる負荷が軽減されることで歩行時に訴えていた右股関節の痛みが軽減され、股関節屈曲は120度まで曲がるようになる。
股関節外旋:45度まで外旋出来るようになるが痛みを伴う。テスト前のような強い筋緊張や関節内の変性による、抵抗や引っかかりのようなものは無い。
トーマンステストはさほど変化は無い。
まだしゃがんだりすると右股関節の痛みはあるものの、歩行時の痛みは改善されている。今回も骨盤の歪みを調整し股関節の関節面を滑らかにするために軸圧をかける。トーマンステストをやるとまだ腰が浮く。
しゃがみ切った時に鼠径部に痛みがあるが仕事では差し支えない状態まで回復する。トーマンステストもやや若干腰が浮く程度まで改善し、施術8回目辺りから腰が浮かなくなった。
股関節の動作痛と屈曲拘縮は改善傾向にあるが、股関節の関節面はまだ引っかかりがあるので週一回のメンテナンスを行う。
10回以降から骨盤を矯正する必要がだいぶ減った。歩き方が正常になりつつある兆候といえる。現在は2週に一回の割合に間隔を伸ばして治療継続中。
股関節の痛み、きっかけは捻挫から。
足首の捻挫はよくある怪我のためによく放っておかれることがあります。確かに大して腫れていないのであれば、少々痛みを我慢すればそのうち気にならなくなります。
歩行パターンが狂うことで、筋肉の収縮と伸張のタイミングが狂い筋肉の緊張分布が変化します。よくある緊張パターンとして傷害初期時では、両側股関節屈曲筋の緊張。障害側の屈曲に作用する筋肉(ハムストリング筋、内転筋、大腿直筋の内側)の緊張。反対側の膝関節より下は伸展位で筋肉が緊張しています。
痛みが軽減すると屈曲筋の緊張は次第に弛緩し、見た目上異常は無くなりますが、深部の股関節の屈曲筋(腸骨筋など)は潜在的に緊張したままであることが多く見受けられます。
結局、捻挫の痛みは取れても潜在的に股関節の屈曲拘縮を抱えることになります。屈曲拘縮になると股関節の位置が変わりますが、正面から見ても正常とあまり区別がつきませんので、サイドから観察します。
屈曲拘縮から変形性股関節症
通常、立位の姿勢を横から見た時、体重線は股関節のやや後方を通りますが(A図)、股関節が屈曲拘縮 の場合の体重線は股関節の前方に移動します。
![屈曲拘縮](img/kukyoku.jpg)
図は医歯薬出版:筋骨格系のキネシオロジーより抜粋
屈曲拘縮のまま立位を保つと、膝と股関節を両方曲げて年寄りのような格好で立位を保つことで上図の重心をなるべく正常な位置に近づけようとします。
ちょうどB図をこのまま膝を曲げるような格好になるため、お年寄りの様な姿勢になります。お年寄りの股関節傷害や膝関節傷害の方に多く観られるパターンです。
今回来院された患者さんのように踵の高いヒール等を履くと、必然的に身体は前傾になり、体重線が前方に移動します。股関節が屈曲拘縮の状態で体重線だけ正常な位置に近づけても、股関節は伸展出来ません。
伸展出来ない股関節の代償作用として膝関節の過伸展、骨盤の前傾、腰椎の前彎増強が発
生します。
前傾姿勢になった分、骨盤を前傾させ、腰椎の前彎増強させて前後でバランスを保ちます。
図は医歯薬出版:筋骨格系のキネシオロジーより抜粋
この状態で立位を保つためには下肢の柔軟性(大腿から膝関節、下腿、足関節)を犠牲にするため、地面からの衝撃が股関節や膝関節に直接加わり
ます。膝関節の柔軟性が失われ、おまけに衝撃が直に加わるために半月板や靭帯を痛めます。また股関節は大腿骨頭が納まる位置が変わります。
通常では大腿骨は負荷や衝撃を緩衝する働のある関節軟骨が豊富に存在する部分と接触しています。しかし、屈曲拘縮の状態ですと大腿骨頭の納まる位置は関節軟骨が豊富に存在する部位からズレてしまい、関節軟骨の接触面が限定されたものになります。
大腿骨頭と関節軟骨との接触を失う又は狭くなることで緩衝作用が上手く機能せずに、股関節に衝撃が加わり関節軟骨や股関節が徐々に壊されて変形性股関節症 になったり、筋肉の異常な緊張や痛みが生じたり、滑液包の炎症などが引き起こされます。
捻挫をしても痛みは2〜3週間で引きます。これで治ったと思ったら大間違いです。
これは治ったのではなく、痛みを軽減するための歩き方を身体が覚えて習熟しただけです。痛みを軽減させるための歩き方は捻挫の痛みが消えても、なお消えずに残りました。
その上、ハイヒールのような特殊な靴を履き続けたことが異常な歩行と姿勢を作り出す原因となりました。異常な歩行と姿勢が積み重なった結果、股関節の軟骨や膝関節の半月板が損傷しました。
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